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「OXYMORON(オクシモロン)」のシェフ、村上愛子さんのカレー(お店ではカリー表記だが)に初めて出会ったのは、今から10年以上前、二子玉川にあった現在のお店の前身「珠玉(SHUGYOK)」でのことだった。最初に食べたのは忘れもしないチキンカリーで、その味に衝撃を受けたのを覚えている。ほどよく煮込まれた鶏肉とまろやかなルーに、少し粗めにひかれたスパイスの主張するとても個性的で美味しいかカレーであった。そしてもっと驚いたことに、ご本人に聞いてみると別にどこかのお店で修行したのではなく、カレー好きが高じて独学で作り出した味とのことであった。一からすべて作り上げた様々なオリジナルなカレーのどれもが美味しく、またバリエーションにとんでおり、昼だけの営業にもかかわらず固定ファンが大勢いるのも頷けるものであった。
その後、2008年に鎌倉へ移転しOXYMORONになってからも彼女のカレーは日々進化を続けている。移転してすぐは材料の調達などに苦労したこともあったようだが、そんなことは微塵も感じさせないクオリティの高いカレーを提供してくれている。
メニューを開くと珠玉時代からの定番メニューであるチキンカリーや和風キーマカリー、スリランカ風マトンカリー、そして移転後に定番メニュー入りしたエスニックそぼろご飯などなど、魅惑的なメニューが並んでいる。本日のカリーは日替わりメニューで、季節や食材などに様々な工夫をされたカレーが提供される。ここに来るといつも思う。『次はどんなカレーに出会えるのか楽しみだ』と。
また、カレーには「おつけもの」と食後に口直しの「くるみのお菓子」がついてくる。このどちらも絶品である。これだけではなく、チーズケーキやレモンケーキ、昔懐かしい味のカスタードプリンなどスウィーツの充実している。
カレーはもちろんだが、居心地の良い空間で丁寧にいれられたコーヒーを飲みつつのんびり過ごすという楽しみ方もできるお店である。
カフェ風の雰囲気で入りづらいと思う方もおられるだろうが、カレー好きは一度訪れておくべき場所である。観光地、鎌倉小町にあってきらりと光る名店、未訪の方はぜひとも足を運んで欲しい。
(文:ノリ)